「単なる肉芽処置」に過ぎないと考えられる処置の主なものを挙げると、次のようになります。
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A.肉芽だけを除去するもの
A-1.メスによる切除
A-2.レーザーによる焼灼
B.肉芽以外の軟部組織にも影響を及ぼすもの
B-1.液体窒素などによる凍結
B-2.薬品による腐蝕
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これらは、陥入爪で生じる肉芽組織を除去する目的で行われるという点で共通していますが、A.は影響が肉芽だけにとどまるのに対して、B.はそれ以外の皮膚や皮下組織にまで影響が広がりうるという違いがあります。
いずれも陥入爪の本来の治療としては本末転倒であり、全く無意味な処置でしかないのですが、B.はA.と違って、
無意味を通り越して有害になる
危険が大きい点で要注意です。
まず、初めにA.に分類される処置から考えてみましょう。
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A-1.メスによる切除
これは、「肉芽を除去しよう」という考えからすれば最も単純な方法と言えますが、実際に行われる例はあまり多くないかも知れません。
なぜかと言えば、出血と痛みが激しいからです。
肉芽という組織は血流が豊富なため、ちょっとでも傷つけるとすぐに出血します。しかもとても刺激に敏感でもあるのです。そんな組織をメスで切ろうものなら、とても痛いだけでなく、出血が止まらなくなって大変なことになるのは当然です。
そもそも肉芽というものは「傷を治すため」に作られるものなのですから、それを切りつけて新たな「傷」を作ればさらに肉芽ができるであろうことは明らかであり、考えてみれば愚かしい行為と言えましょう。
A-2.レーザーによる焼灼
これは、肉芽に炭酸ガスレーザーなどのレーザー光線を当てて急激に加熱し、焼灼・蒸発させて取り除こうとするものです。
この方法は、血液を加熱凝固しますし、神経も一瞬で焼いてしまうため、出血や痛みが少ないという点でA-1.よりも増しな方法と言えます。
ただ、レーザー発生装置は全ての医療機関にあるものではなく、主に皮膚科、それも美容に特化したところでなければ置いてないのが普通です。ですから、そういう機器を備えている医療機関でなければ、行いたくても行えない処置です。
いずれにしろ、この方法もA-1.に比べて苦痛が少ないとは言え、やはり単なる肉芽処置に過ぎない点では何ら変わりはありません。
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このように、単に肉芽を除去しようという処置は、陥入爪の結果として生じた肉芽組織をただ除いているだけで、肉芽ができる原因となっている「皮膚の傷」に対しては何の働きかけもしていません。
これは、例えて言うなら、下水管が腐って汚泥が噴き出ているのに、出てきた汚泥のみに気を取られて、
ひたすら泥掃除ばかりしている状況
に似ています。端から見れば、何とも愚かしいと言うより他にないでしょう。
なのに、こういった処置をしている医療機関では、その「愚かしさ」を意識することもなく、変わり映えのない行為を繰り返して「それでよし」としてしまっているわけです。
陥入爪で肉芽が生じている場合には、肉芽そのものよりもまず「皮膚の傷」を治さなければならないのは言うまでもなく、それは丁度、腐った下水管を修理しなければ汚泥の噴出を止められないのと同様なのです。
(続く)
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爪専門外来について診療・相談ご希望の方は、どうぞ下記のホームページをご参照の上、電話にてお問い合わせください。
医療法人健齢会 ふれあい平塚ホスピタル ホームページ: http://www.fureai-g.or.jp/fhh/
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また、私個人へのメールによる問い合わせにも対応致しますので、ご希望の方は下記メールアドレス宛にご送信ください。ただし、職務の都合上、返信に日数を要することがありますので、ご諒承ください。
医療法人健齢会 ふれあい平塚ホスピタル 内科 宮田 篤志
メールアドレス: miyataatsushi@livedoor.com
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A.肉芽だけを除去するもの
A-1.メスによる切除
A-2.レーザーによる焼灼
B.肉芽以外の軟部組織にも影響を及ぼすもの
B-1.液体窒素などによる凍結
B-2.薬品による腐蝕
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これらは、陥入爪で生じる肉芽組織を除去する目的で行われるという点で共通していますが、A.は影響が肉芽だけにとどまるのに対して、B.はそれ以外の皮膚や皮下組織にまで影響が広がりうるという違いがあります。
いずれも陥入爪の本来の治療としては本末転倒であり、全く無意味な処置でしかないのですが、B.はA.と違って、
無意味を通り越して有害になる
危険が大きい点で要注意です。
まず、初めにA.に分類される処置から考えてみましょう。
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A-1.メスによる切除
これは、「肉芽を除去しよう」という考えからすれば最も単純な方法と言えますが、実際に行われる例はあまり多くないかも知れません。
なぜかと言えば、出血と痛みが激しいからです。
肉芽という組織は血流が豊富なため、ちょっとでも傷つけるとすぐに出血します。しかもとても刺激に敏感でもあるのです。そんな組織をメスで切ろうものなら、とても痛いだけでなく、出血が止まらなくなって大変なことになるのは当然です。
そもそも肉芽というものは「傷を治すため」に作られるものなのですから、それを切りつけて新たな「傷」を作ればさらに肉芽ができるであろうことは明らかであり、考えてみれば愚かしい行為と言えましょう。
A-2.レーザーによる焼灼
これは、肉芽に炭酸ガスレーザーなどのレーザー光線を当てて急激に加熱し、焼灼・蒸発させて取り除こうとするものです。
この方法は、血液を加熱凝固しますし、神経も一瞬で焼いてしまうため、出血や痛みが少ないという点でA-1.よりも増しな方法と言えます。
ただ、レーザー発生装置は全ての医療機関にあるものではなく、主に皮膚科、それも美容に特化したところでなければ置いてないのが普通です。ですから、そういう機器を備えている医療機関でなければ、行いたくても行えない処置です。
いずれにしろ、この方法もA-1.に比べて苦痛が少ないとは言え、やはり単なる肉芽処置に過ぎない点では何ら変わりはありません。
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このように、単に肉芽を除去しようという処置は、陥入爪の結果として生じた肉芽組織をただ除いているだけで、肉芽ができる原因となっている「皮膚の傷」に対しては何の働きかけもしていません。
これは、例えて言うなら、下水管が腐って汚泥が噴き出ているのに、出てきた汚泥のみに気を取られて、
ひたすら泥掃除ばかりしている状況
に似ています。端から見れば、何とも愚かしいと言うより他にないでしょう。
なのに、こういった処置をしている医療機関では、その「愚かしさ」を意識することもなく、変わり映えのない行為を繰り返して「それでよし」としてしまっているわけです。
陥入爪で肉芽が生じている場合には、肉芽そのものよりもまず「皮膚の傷」を治さなければならないのは言うまでもなく、それは丁度、腐った下水管を修理しなければ汚泥の噴出を止められないのと同様なのです。
(続く)
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