指は「硬い骨の周りに軟らかい肉(軟部組織)が巻き付いている構造」と説明しました。

 では、その指の腹に鉛筆のような硬い棒を押しつけたら、どうなるでしょうか。

 指の肉は軟らかくて変形しやすいですので、圧迫されれば押しのけられて両側へ逃げてしまいます。そうなると、骨の真下にある肉だけが逃げ切れずに押し潰されることになります。骨と鉛筆とに挟まれた、ごく狭い範囲の肉に集中して力が加わることになるのです。

 そうなれば、当然痛いでしょうし、圧迫力が限度を超えれば内出血さえ起こしてしまいかねません。竹輪の例で言えば、鉛筆を押しつけた部分の竹輪が押し潰されて崩れてしまうことになります。

 ところが、ここで指の背中側に爪という「抑え」があったらどうでしょうか。

 この状態であれば、指の腹に圧迫力がかかっても、指の肉は爪という「抑え」に阻まれてあまり逃げられなくなります。そのため、より多くの肉で圧迫力を受け止めることになり、力が分散されて楽になるのです。竹輪の例で言えば、棒に刺した竹輪をすっぽりと竹筒で覆い、その一部に窓を開けてそこに鉛筆を押しつける状況に当たります。これであれば、少なくともむき出し状態の竹輪に比べて、より強い圧迫に耐えることができるでしょう。


 ここで、皆さんには、ぜひとも実験をしてみて戴きたいと思います。

 まず、指の中ほど(爪がないところ)に鉛筆を当てて、強く押しつけてみてください。おそらく、すぐに痛くなるでしょう。

 では次に、指先(爪があるところ)に同じように鉛筆を押しつけてみてください。今度は力一杯押しつけても、あまり痛くないのではないでしょうか。そして、その時の爪を見ると、力が加わっている部分の爪が真っ白になっているのに気がつくでしょう。爪によって肉が抑え込まれて、中から血が絞り出されているから白く見えるわけです。


 このように、爪は指先の肉を逃がさぬように固定することにより、強い圧迫力に耐えられるようにするという重要な役割を果たしているのです。

 ですから、私たちは、爪がなければ指圧もロック・クライミングもできなくなり、足の踏ん張りが利かなくなるので、まともに走ることもできなくなってしまうでしょう。(続く)


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