これまで2回にわたって、爪の最も重要な存在意義と言える

  『指先の肉を逃がさぬように固定することにより、

強い圧迫力に耐えられるようにする』



という役割について説明してきましたが、どうでしょうか? おわかり戴けたでしょうか?

 おそらく、文章だけではなかなか感覚がつかみづらかったのではないかと思います。

 そこで、理解の助けとするために、今まで説明してきたことを図でもう一度解説してみましょう。


 まず、下の図1に指の構造を示します。これは、爪がない部分の指を輪切りにした図と考えてください。

指の構造






















 このように、指は「硬い骨の周りに、軟らかい皮下組織が巻き付いたつくり」と考えられます。

 では、この指に硬い鉛筆を押しつけるとどうなるかを図2で表します。

爪がない場合





















 すると、図の通り、指の肉(軟部組織)は軟らかいため、鉛筆に押されると骨の両側へ逃げてしまいます。すると、骨と鉛筆とに挟まれたごく狭い範囲の肉だけに圧迫力が集中してかかる結果となり、痛みを感じることとなるのです。

 それでは、もし、爪があればどういうことになるか、図3で表してみましょう。

爪がある場合





















 すると、図の通り、爪が指の肉の「抑え」として働くので、鉛筆を押しつけても肉はあまり逃げることがなく、クッションのように作用するので、強い圧迫力を加えても痛みを感じずに済むというわけです。

 いかがでしょうか?

 爪の果たしている役割が感覚的につかめたのではないでしょうか。


 人が指先で強く物をつかんだり、足先で強く地面を踏みしめたりできるのも、実は爪があるおかげでもあるのです。私たちは、もっと爪のありがたみをよく認識しなければなりません。


 ただ、ここでも、「どんな爪でもありさえすればいい」というわけにはいかないことに注意する必要があります。

 これまでも繰り返し述べたことですが、この爪の役割においても、爪の「長さ」と「幅」とが充分に保たれていなければならないことはおわかりになるでしょう。そうでなければ、指の肉が逃げるのを防ぐことができないからです。

 つまり、ここでも

   『スコップの原理』が当てはまっている

というわけです。


 爪にとっての、「長さ」と「幅」が保たれていることの重要性は、いくら強調しても足りないくらいなのです。(この項終わり)



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