ここまでの話で、爪というものが何のためにあるのか、また、役立っているのかが大体おわかりになったことでしょう。

 ただ、皆さんの中には、

   そんなリクツなんかより、早く巻き爪や陥入爪の話に入れ!」

と思っている方もいらっしゃるかも知れません。

 ですが、私がここまでくどくどと「爪の存在意義」について説明してきたのには、それだけの理由があるのです。


 なぜ、「爪の存在意義」がそれだけ重要なのか ー それは、

   爪治療の目標となるものだから

です。


 医学では、ヒトの臓器・器官に起こる様々な病気について学ぶわけですが、その前に必ず、「正常な状態」について学ばなければなりません。なぜなら、

   正常な状態がわかっていなければ、何がどう異常なのかわかるわけがないから

です。そしてもう一つ、「正常な状態」をしっかり学ぶ理由は、

   それが「治療の目標」となるから

なのです。


 例えば、脚を骨折したとします。その場合、治療の目標は何でしょうか? 出血や痛みが治まればそれでいいでしょうか? いいえ、そうは行きません。

 脚の骨折を「治療」したというからには、その脚が本来持っていた役割(つまり、存在意義)を充分に果たせる状態にまで持って行かなければなりません。「傷は治ったけれど歩けません」では話にならないのです。

 ですから、骨折の「治療」を評価するためには、どうしても「脚の役割」をしっかり理解していなければならないのです。「脚の役割」をどの程度完全に復元させられるかによって、「治療」の優劣が判断されるのです。


 爪医学でも同じことが言えます。

 つまり、

   「爪の役割をどの程度温存できるかによって、治療の優劣が評価される」

ということです。


 前回までの記事で、爪の役割と、それを保つための条件についてはくどいほど説明してきました。まとめて言えば、爪の役割を保つためには

  爪の「長さ」と「幅」とが充分にあること

が必要だということです。


 以上のことから、極めて重要な爪医学の原則が導き出されます。それは、

  「爪治療においては、爪の長さと幅とを保つ、または回復させることを最優先とすべきである」(爪医学の黄金原則)

ということです。この原則は、いろいろな爪治療法を比較検討する上で、真っ先に考慮しなければならない指標となるものであり、これから外れている治療法は「劣っている」と判断できるのです。

 この原則は爪治療の第一の基本ですので、『爪医学の黄金原則』と名付けて、これからもたびたび引用することにします。ここで、ぜひとも記憶にとどめて戴きたいと思います。


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