爪は硬くて柔軟性も兼ね備えているという話をしましたが、爪の強さはまだこれだけでは説明しきれません。

 爪は薄い板状なので、均一な構造では引っ掻いたりしたらすぐに欠けてしまいます。それを防ぐために、爪を形成している「ケラチン」は繊維状になって爪の中を縦方向に走っています。それにより、「曲げる力」に対して強くなっているのです。

 ちょうど FRP(Fiber Reinforced Plastics : 繊維強化プラスチック) のようになっているわけです。

 ですが、それだけでは「裂けるチーズ」のように縦に裂けやすくなってしまい、爪の先に少し亀裂が入っただけですぐに根元まで裂け目が進んでしまうでしょう(図1)。

ケラチンの繊維構造




















これではたまりません。

 そのため、爪には層の中間に繊維が横に走っている層が挟まっていて、「裂く力」に対しても強くなっているのです。

 つまり、爪は

   「縦・横・縦」の3層構造

になっているわけで、例えるならベニヤ合板のようなつくりになっているのです(図2)。

爪の3層構造




















だからこそ、酷使にも耐えられるのです。


 ですが、こういう層構造をしているため、爪には「層状に剥がれやすい」という弱点もあるわけなのです。

 「二枚爪」とか「三枚爪」と呼ばれるのは、この層状剥離現象のことなのです。

(続く)


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