陥入爪に伴う指の炎症がいかに大きな問題となるかについて説明して参りました。

 では炎症さえなければ、もしくは悪化しなければ、問題はないのでしょうか? 放置していてもよいのでしょうか?

   いいえ、そうは行きません。


 陥入爪の悪影響は、決して炎症のみによって起こるものではないからです。陥入爪のために指が痛い状態が続くと、さらに厄介な障害が起こり得るのです。


 すでに書きました通り、陥入爪があると足の指(主に親指)が激しく痛みます。特に外力が加わると、跳び上がるほど痛むこともあります。そのため、陥入爪があると歩く時も指にあまり体重をかけられなくなり、無意識のうちに

   足の親指を浮かせて歩く

ようになってしまいます。実はこれが、大きな問題を起こす原因となるのです。

 このような歩き方は、ヒトの本来の歩き方ではありません。そして、このような不自然な歩き方は足にも余計な負担をかけ、様々な問題につながるのです。


 まず、足の親指つまり足の内側を浮かせて歩くため、足の外側や踵(カカト)に体重が集中するようになります。すると、力が集中する部分の皮膚が厚くなり、胼胝(タコ)やウオノメができやすくなります。ひどくなると、皮膚に亀裂が入り、血が出て痛むようになることもあります。


 ですが、これくらいの問題はまだ序の口です。


 歩き方の変化は関節に無理な負担をかけるため、長引くと

   関節の変形につながる

こととなるのです。


 「足の内側を浮かせて歩く」歩き方が常態化したら、次にどのようなことが起こるのでしょうか?

 ここで、皆さんにはぜひ実験をしてみて戴きたいと思います。

 歩く際に足の内側を浮かせたままでいるためにはどうすればいいでしょうか? 実際にそのようにして歩いてみてください。

 普通に考えれば、両足を足首のところで内側に反り返らせればいいように思うでしょう。こういう状態を「内反足(ナイハンソク)」と言います。ですが、そのままずっといるのはとても難しいことに気付くはずです。なぜなら、足首の関節(足関節(ソクカンセツ))は内反足の状態ではとても不安定だからです。しかも足関節というものは捻挫を起こしやすいところで、その大部分は「内返しに捻ってしまうもの」なのです。内反足の状態では、いつ足首を内側に捻って捻挫を起こしてしまうかわからず、とても危険です。

 では、どうすれば足の内側を浮かせたまま安定して歩くことができるでしょうか?

 実験してみた方はおわかりになると思いますが、足の内側を浮かせたままでいようとすると、無意識のうちに両膝の間が広がった形になるのです。つまり、足首を内側に曲げるわけに行かないから、脚ごと(正確に言えば「下腿ごと」)動かさざるを得なくなるのです。そういう状態になると、両膝が左右に広がって、脚全体がアルファベットの「O(オウ)」のような形となります。そのため、このような脚を

   「O脚(オウキャク)」

と呼びます。因みに、逆に両膝がくっついて両足首がむしろ左右に開いているような脚を「X脚(エックスキャク)」と呼びます。


 つまり、どういうことかと言えば、

   足の指が痛むのを放っておくとO脚になる

というわけなのです。


 O脚になると、脚の形が崩れていわゆる「蟹股(ガニマタ)」となり、理想的な脚線美から程遠い状態となります。マンガやアニメでも、美形キャラクターがO脚であることはまずなく、むしろ少しX脚気味に描かれるのが普通です。それだけ、O脚というものは好ましくない脚の形なのです。誰も進んでO脚になろうなどとは思わないに違いありません。

 でも、中には

   「俺は男だし、脚線美なんかどうでもいい」

という方もいらっしゃることでしょう。では、そういう人はO脚になっても構わないかと言えば、決してそんなことはありません。なぜなら、

   O脚になると膝が悪くなる

からです。もっと具体的に言えば、「変形性膝関節症(ヘンケイセイシツカンセツショウ)」になりやすくなるのです。


 いったいどういうことか、話をさらに進めましょう。


(続く)

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