なぜ、O脚になると変形性膝関節症になりやすくなるのでしょうか? 

 この理由にご納得戴くためには、まず膝の構造について説明しておかなければなりません。


 ヒトの脚には、大腿(ダイタイ)部に「大腿骨(ダイタイコツ)」という骨が1本あり、下腿に「脛骨(ケイコツ)」という骨と「腓骨(ヒコツ)」という骨が1本ずつあります。ですが、これらのうち腓骨は膝関節には関与していませんので、膝関節とは大腿骨と脛骨とが接している関節ということとなります。

 ヒトは普通に立っている時には2本の脚で体重を支えているわけですが、歩けば当然、1本の脚で全体重を支えなければなりません。さらに、走ったり跳びはねたりすれば体重の何倍もの力に耐えなければならないのです。このような厳しい負担がかかる膝関節というものは、どういう構造になっているのでしょうか?

 「膝関節は大腿骨と脛骨とが接している関節」と書きましたが、決して骨同士が密着しているわけではありません。簡単に言えば、脛骨の上面は平たいテーブルのようになっていて、それに接する大腿骨の下端には内側と外側に1つずつ突起があって、その2つの突起が脛骨の上面に載っているのです。つまり、大腿骨と脛骨は

   内側と外側の2箇所で接している

ということなのです。これは極めて重要なことですので、しっかり押さえておいてください。

 膝がまっすぐな場合、つまり、O脚でもX脚でもない場合には、2箇所の接点にはほぼ均等に重力が加わるようになっています。

 ですが、O脚になると、膝が外側へ曲がるため、2箇所の接点のうちの外側の方が浮き上がる形となり、結果として

   内側の接点に体重が集中して加わる

こととなります。

 ただでさえ厳しい負担がかかっている膝関節でこのような不均衡が生じれば、どのような不具合が起こるか大方予想がつこうというものです。


 ここで続けて、変形性膝関節症についても説明しておきましょう。

 一般に関節とは骨と骨とが接している構造を指しますが、「直に」接しているわけではありません。

 考えてみれば、膝関節のような動く関節で骨同士が直に接していたら滑りが悪くて動きにくいでしょうし、衝撃が直接骨に響いて痛くて堪らなくなることでしょう。このため、関節で接する骨の表面は軟骨で覆われていて、この軟骨が潤滑・衝撃吸収の役割を果たしているのです。

 変形性膝関節症とは、この関節軟骨が傷む(具体的には「すり減る」)ことによって起こる病気なのです。

 軟骨というものは非常に強靱で耐久性にも優れているのですが、残念なことに、一度傷むと二度と再生しません。そのため、長年の使用によってすり減ると薄くなる一方となり、最後にはすり切れてなくなってしまうのです。

 軟骨がすり切れてなくなってしまうと、関節の滑りが悪くなって歩きにくくなりますし、骨の表面が露出するため、そこに体重が加わると痛みや炎症が起こります。こういう状態を

   変形性膝関節症

と呼ぶわけです。

 この病気になると、まず最初に正座ができなくなり、しゃがむこともできなくなってきます。そして、進行すると、立って歩くことすら痛くてできなくなってしまうのです。

 治療としては、すり切れた軟骨を元に戻す方法はありませんので、膝への負担を軽減して進行を遅らせることくらいしかできません。進行して、日常生活すら辛いようであれば、人工関節と交換する手術をしなければならないこともあります。

 このように、変形性膝関節症とは、命に直接関わらないにしても、私たちの生活に多大な障害をもたらす重大な病気なのです。


 ここまでで、膝関節の構造、変形性膝関節症についてあらかたおわかり戴けたことと存じます。

 では、O脚になるとなぜ変形性膝関節症になりやすくなるのでしょうか?

 勘のいい方はもうおわかりのことと思います。

 そうです。なぜかと言えば、それは

   膝関節の内側に体重が集中するから

です。


 膝関節の内側に負担が集中してかかれば、それだけ内側の軟骨が速くすり減るのは当然です。しかも、軟骨がすり減れば軟骨の層が薄くなるため、接している骨同士の隙間が狭くなり、ただでさえO脚だったのがもっとO脚になっていく結果となります。

 そうなると、ますます内側に体重が集中してかかることになり、悪循環に陥ってしまうのです。

 そのまま行けば、内側の軟骨がすり切れて変形性膝関節症を発症するのは時間の問題です。


 どうでしょうか?

 O脚の弊害は決して単なる見た目の問題だけにとどまらないのです。

 陥入爪を放置したばっかりにO脚となり、さらに変形性膝関節症にまでなってしまったら、その及ぼす損害は実に重大です。しかも、そうなってしまってからいくら慌てて陥入爪の治療をしたところで、膝はもう元に戻りはしないのです。


 これで、「爪の病気など放っておいても大したことはない」という認識が大間違いであることがおわかりになったでしょう。


 ですが、実は陥入爪が及ぼす悪影響はまだこれで終わりではないのです。


(続く)

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