陥入爪は長期化すると前傾姿勢を招き、これが背骨への過大な負担となって、腰痛から背部痛を起こす原因となることを説明しました。

 ところが、陥入爪の悪影響はこれにとどまらず、何と頭痛まで引き起こすことがあるのです。


 私たちは意識していませんが、頭というものは体の中でもとても重い部分です。

 しかも、頭と背骨との結合は緩やかなので、頭が不安定にならないようにするためには頸部にある数々の筋肉がしっかり支えている必要があります。

 それでも、背骨が垂直(鉛直)になっている分には、頸部筋にかかる負担はほとんどありません。ですから、正常な姿勢であれば、頸部筋は主に頭を動かす働きさえしていればいいので、比較的楽であるわけです。

 ところが、猫背になってしまうと、どうしても頭を前へ突き出す格好となるので、頭が前方へ落下しないように絶えず支えていなければならなくなります。具体的には、後頸筋(首の後ろの部分の筋肉)が常に頭を引っ張り上げていなければならなくなるのです。

 この状況は丁度、四足歩行の動物が立っている様子に似ています。彼らの場合も、重い頭を絶えず背中側へ引っ張り上げていなければならない点に変わりはありません。しかし、そのために彼らの後頸部には通常、「項靱帯(コウジンタイ)」という強い靱帯が発達していて、頸部筋の負担を軽減する働きをしているのです。

 それに比べて、ヒトは四足歩行動物のように頭を前に突き出した姿勢を常態としているわけではありませんので、彼らと違って項靱帯も発達していません。ですから、負担は専ら

   後頸部筋に集中してかかる

ことになってしまうのです。

 そうなると、当然の結果として、頸部痛がよりひどくなるわけですが、実はそれだけでは済まないのです。


 私たちの頭には脳があり、その周囲を頭蓋骨が覆って保護しているのはご存じのことと思います。では、頭蓋骨の外側はどうなっているのでしょうか?

 「皮膚と毛しかない」とお思いの方もいるかも知れませんが、それは正しくありません。

 実は、頭蓋骨の外側にもわずかではありますが

   筋肉がある

のです。


 「頭痛」と言えば、一般の人は「脳に原因がある」とお考えのことと思います。ところが、実際には脳には何も異常がなく、頭蓋骨の外側の筋肉の痛みが頭痛の原因になっていることが往々にしてあるのです。そういう頭痛を

   「筋緊張型頭痛(キンキンチョウガタズツウ)

または単に

   「緊張型頭痛(キンチョウガタズツウ)

と呼びます。

 この型の頭痛の原因となる筋肉は、実は後頸部筋の一部とつながっています。そのため、頭痛と共に後頸部痛もあるといった場合には、緊張型頭痛である可能性が極めて高いことになるのです。


 ここまで言えば、もうおわかりでしょう。

 そうです。

   猫背による後頸部筋への負担は

緊張型頭痛の原因となる


ということになるのです。


 これまでの話をまとめると、こうなります。

 陥入爪で足の指が痛む状態を放置すると、重心の移動から猫背となり、ひいては腰痛・背部痛・頸部痛をきたし、最終的には頭痛まで起こしてしまうことになるのです。


 これは決して誇張でも

   「風が吹けば桶屋が儲かる」

式の例え話でもありません。現実に起こることなのです。


 最初は、足の爪だけの問題であったものが、巡り巡って頭にまで至る全身に悪影響を及ぼし得る現実、これを知ってもあなたはまだ

   「タカが爪のこと」

と言っていられますか?


 爪の病気も、他の臓器の病気と同様にきちんと治療すべきものと考えなければならないのです。


(この項終わり)

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