巻き爪・陥入爪に対して行われる抜爪という「治療」が、本来の「治療」という名に値しない処置であることを説明しました。では、抜爪は単に「現状を改善しない」だけなのでしょうか?

 いいえ、そうではありません。

 実は、抜爪はほとんどの場合

   爪を以前より醜くする

有害な処置なのです。


 まず、ここで知っておいて戴きたいのは、爪というものは

   造られた直後は軟らかい

ということです。つまり、爪が伸びるのは

   軟らかい餅を押し出すようなもの

なのです。押し出された後で冷えて固まると餅も硬い板のようになりますが、その根元では軟らかい状態にあるように、爪も見える部分は硬い板状になっていますが、爪母(爪が造られる部分)の近くではまだ充分に硬くなってはいないのです。

 一般の方が持っていらっしゃる爪の伸び方のイメージは、初めから硬い爪の板ができていてそれを送り出すような、例えて言えば

   カッターナイフの刃を押し出すようなもの

ではないかと思われますが、実際の爪はそうではないのです。

 ですから、爪が伸びる際には、できるだけ同じ速さで滞りなく伸びていけるようになっていないと、厚さや向きが容易に変わってしまうわけなのです。


 では、なぜ私たちの爪はこうも整った形で伸びていられるのでしょうか?

 今、生えている爪がそれなりに美しい形態を保っていられるのは、生まれてから何年・何十年と伸び続けてきた爪が

   言わば「レール」のような役割を果たしている

からなのです。すでにある爪が、厚さや伸びる方向を決める働きをしてくれているおかげで、これから生えてくる爪も「道を外さずに」済んでいるわけなのです。


 ところが、抜爪という処置は、こういった「レール」を

   完全に破壊する行為に他ならない

のです。

 その結果、新しく生えてきた爪は従うべき「レール」を失って、曲がったり、歪んだり、分厚く変形したりして、元の爪より

   確実に醜悪なものと化してしまう

わけです。そして、こうなってしまうと、もういかなる手段を用いても元に戻すことは不可能です。

 ですから、抜爪という処置は、「これをしなければ指の切断もあり得る」というくらいの切羽詰まった状況でない限り、してはならないものなのです。


 もし、あなたが巻き爪・陥入爪のために抜爪をすすめられたら、決して即決せず、ぜひともよく検討されることを強く望みます。ほとんどの場合、抜爪などせずに治療する方法があると思うからです。

 お迷いの場合には、ぜひ、爪専門外来など、お近くの然るべき医療機関にご相談ください。


(続く)

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