消毒という処置は陥入爪に対して何のメリットもない無意味な行為であると述べました。

 これをお読みになった方の中には、ことによると

   「それはいくら何でも言い過ぎではないか」

というような感想をお持ちになった人もいるのではないでしょうか?

 ですが、言い過ぎではないのです。こと陥入爪については、消毒という処置は

   何の価値もない無駄な行為である

ときっぱりと言い切れるのです。いやそれどころか、

   無意味を通り越して有害である

とさえ言えるのです。


 ここまで言うからには、当然それなりの根拠があります。それをこれから説明して参りましょう。


 まず、仮に消毒という処置が陥入爪に対して「意味がある」と言いたいとしたら、少なくとも次の2つの条件のうち1つは満たしていなければなりません。

   A.消毒は陥入爪を改善する

   B.消毒は(陥入爪によって起こった)傷を改善する

そうでなければ、消毒をいくら繰り返したところで陥入爪の治りが早まる道理がないからです。

 ここまでは、おそらくどなたも異論はないでしょう。

 ではこれから、このA.、B.のそれぞれについて考えて行くこととします。


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 まず、A.の条件「消毒は陥入爪を改善する」についてですが、これはもう深く考えるまでもなく

   成り立たない

ことが明白です。

 陥入爪とは「爪が皮膚に食い込んで傷を作っている状態」なのですから、これを改善したければ食い込んでいる爪を何とかしなければならないのは言うまでもないことです。それなのに、食い込んでいる爪を放っておいて周りから消毒薬など塗ってみたところで意味などあろうはずがありません。

 例えば、もし足にナイフが刺さって病院を受診したとします。その際、担当医がナイフに触れもしないで傷の消毒だけして、

   「はい、お大事に~」

などと言って済まそうとしたら、あなたはどう思いますか?

   「ふざけるな! ナイフくらい抜け!!」

と怒るのではないでしょうか?

 陥入爪に対して消毒だけして帰そうとするのは、丁度これと同じことをしていることになるのです。如何に意味のない処置かおわかりになるでしょう。

 それなのに、患者も医師も陥入爪で消毒だけしてよしとしているのは実に奇妙であり、考えてみればおかしいと誰もが思うに違いないと言えるでしょう。

 つまり、陥入爪を改善するためには「皮膚に食い込んでいる爪を皮膚から離す」処置をしなければならず、そうしない限り傷は治ることがないのです。消毒にそんな効果がないことは明らかです。

 ですから、まとめて言えば

   消毒は陥入爪を改善しない

ということになるのです。


 では、次にB.の条件が満たされるかどうか考えてみましょう。


(続く)

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