前回の記事では、「消毒」という処置が陥入爪を改善しないことを説明しました。

 では、残るB.の条件「消毒は(陥入爪によって起こった)傷を改善する」が満たされるかどうか考えてみましょう。


 まず、明らかにしておかなければならないことは、そもそも「消毒」とはどういうことであり、どういう目的で行うことなのかということです。

 通常、消毒とは「バイ菌を殺すこと」と考えられています。厳密には「(主に人体に有害な)細菌を殺す」と言うべきですが、おおよその理解としては

   「菌を殺すこと」

でよいでしょう。

 つまり、傷を消毒するということは「傷の中の菌を殺すこと」を目的として行うものであり、それ以上のものではないのです。


 一方、陥入爪の傷は何が原因で起こっているのでしょうか? どうしてなかなか治らないのでしょうか?

 それは、これまでにも繰り返し述べてきている通り、

   爪が皮膚を突き破っているから

です。


 ここで重要なことは、陥入爪の傷の原因には

   バイ菌は関与していない

ということです。


 もし、陥入爪の傷がバイ菌のせいで起こっているものなら、バイ菌を殺すことによって改善が見込めるかも知れません。ですが、実際はそうではなく、爪が食い込んでいるために傷になっているわけですから、仮にバイ菌を完全に殺して無菌状態(現実には不可能ですが)にしたところで、傷は治りません。バイ菌が傷を起こしているわけではないのですから。

 つまり、バイ菌は傷の悪化要因ではあっても、決して傷の根本原因ではないのです。従って、菌を殺すことしか効果のない「消毒」は、

   傷の原因を改善し得ない

ことになるのです。しかも、化膿している傷を消毒しても、それだけでは化膿を抑えることすらままならず、爪という「異物」を除去しない限り改善は見込めないのが現実なのです。


 そうなると、B.の条件も成り立たないという結論になり、結局、A.、B.両方の条件が共に満たされないことになります。

 これでは、消毒が陥入爪に対して「メリットがある処置」とは到底言えません。しかも、こんな「処置」でも医療行為として行われる以上、通院の必要が生じ、医療費も発生します。その上、消毒の際に染みて痛いともなれば、

   メリットがないどころか、デメリットばかり

ということになってしまうのです。


 以上が、私が「陥入爪に対して消毒は無意味である」と主張する理由です。


 実際、陥入爪で例え化膿して腫れていても、本来の治療である「爪を傷から離す方法」を行えば、消毒などしなくても自然に治ってしまうことがほとんどなのです。


 皆さんも、もし陥入爪で漫然と消毒だけ繰り返すような「治療」を受けていらっしゃるとしたら、それが本当に改善につながるものなのかどうか熟慮されることをおすすめ致します。

 私の爪専門外来でも相談を受け付けておりますので、ご興味のある方はどうぞご連絡ください。


(この項終わり)

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