『鬼塚法』とは「爪の縁を短冊状に根元まで切り取って爪の幅を狭くする手術」であると説明しました。また、『鬼塚法』には、巻き爪に対しても陥入爪に対しても「それなりの効果があると考えることもできる」と述べました。

 このように聞くと、『鬼塚法』は一見、なかなか良さそうな治療法と思われることでしょう。ですが、実はそうではないのです。『鬼塚法』には実際には幾つもの欠点があるのです。その欠点とは、「手術」に伴う

   合併症

のことです。

 これから、『鬼塚法』にはどのような合併症が起こり得るのかについて具体的に説明して参りましょう。これを知れば、きっと皆さんも『鬼塚法』を手放しで賞賛する気にはなれなくなることでしょう。


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 『鬼塚法』は「爪の縁を短冊状に切り取る」わけですが、その際には当然、爪母部(爪が造られる部分)をも確実に切除しなければなりません。そうしなければ、残った爪母部からまた爪が生えてきてしまうからです。

 そのために、以前の記事(http://biso-tsushin.doorblog.jp/archives/36416428.html)でも説明しましたように、爪母部を取り残さないように鋭匙で掻爬する手順が必要となるのです。説明では簡単に思われたかも知れませんが、実はこれがなかなか難しいのです。

 爪母部というのは肉眼では判別できませんから、「どこからどこまでが爪母か」というのは目で見てもわかりません。ですから、爪母を確実に除去するために、特別の注意を払って広めに切除したりフェノールで腐蝕したりするわけですが、それでも爪母の一部が残ってしまうことが少なくないのです。

 そうなると、爪母の細胞というものはとても「しぶとく」て、少しでも残っているとそこでどんどん爪を造り続けますから、切除したはずの場所からトゲのような爪が生えてきてしまうのです。これを

   「副爪(フクソウ)」

と呼びます。この副爪は切っても切っても何度でもまた生えてきますので、邪魔で仕方がありません。しかもこれはまだよい方であり、爪母がもし皮下に埋もれた状態で残ったりしようものなら、何と

   皮膚の中に爪が生えてしまう

ことになり、痛くてたまらなくなってしまいます。こうなってしまったら切ることもできません。

 結局、このような副爪ができてしまった場合には、再手術をして爪母部ごと切り取らざるを得なくなってしまうことになるのです。


 このように、『鬼塚法』では

    「副爪ができてしまう」

という合併症が少なからず起こってしまうのです。

 「うまく手術すれば副爪は生じない」とする論文もあるとのことですが、どのように「うまく手術する」のかが明確でないため、実践できないそうです。


 如何でしょうか? 『鬼塚法』も必ずしもよいことばかりではないことがおわかり戴けたことと思います。

 では、『鬼塚法』の合併症はこれだけでしょうか? うまく副爪を作らずに「手術」できればそれでよいのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。『鬼塚法』には、いくらうまく「手術」しても起こり得る合併症がまだ他にあるのです。

 次回はそれについて述べることと致しましょう。


(続く)


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