前回の記事で、『鬼塚法』には「副爪」という合併症が起こりうることを説明しました。

 ですが、この『鬼塚法』という「手術」には、それ以外にも重大な合併症が起こる可能性があるのです。しかもこれは、どんなにうまく手術したとしても避けられないものなのです。

 その合併症とは、

   爪の変形

です。そして、これは

   「爪縁を切除してしまう」

ことが原因となって生じるものなのです。

 ここで言う「爪縁」とは、爪の根元を下に置いた場合における、左右の縁のことを指します。『鬼塚法』とは、既に説明しましたように、「爪の縁を短冊状に切り取って、爪の幅を狭くする手術」であるわけですから、受ければ必ず「爪縁部が切除されてしまう」ことになります。

 では、なぜ「爪縁を切除する」ことが爪の変形の原因となるのでしょうか?


 正常の状態では、爪縁は指の皮膚と隙間なく密着していて、そう簡単には離れないようになっています。そのおかげで、

   爪縁部から水やゴミが入り込まない

   爪縁から爪が剥がれてくることがない

   爪が爪縁に沿って伸びるため、曲がらずにまっすぐ伸びる


といった利点がもたらされているのです。

 ところが、『鬼塚法』は爪縁を含めた爪の一部を切り取ってしまうのですから、当然、爪縁部は失われることになります。これは、どんなに慣れた術者がどんなにうまく手術したところで避けようがありません。

 そうなるとどのようになるかと言えば、上に挙げた利点が全て失われることになり、すなわち、

   爪縁からゴミなどが入り込みやすくなる

   爪縁から爪が剥げてきやすくなる

   爪が曲がって伸びたり歪(ゆが)んだりしやすくなる

ということになるのです。そして、爪縁部を再生する手段のない現状では、これはもうどんな手術をしても

   元に戻すことは不可能

なのです。


 実際に、『鬼塚法』を受けた結果として、爪が右または左に曲がってしまったとか、爪が浮き上がってしまったとかという実例は少なくありません。『鬼塚法』を爪の片側だけに行った場合には爪が曲がることが多く、両側に行った場合には爪がはがれてしまうことが多いようです。中には、爪が完全に指の皮膚から離れてしまい、斜め上を向いてまるで

   カスタネットのように

なってしまった例すらあります。これでは絶えず短くしていなければすぐに靴に当たってしまって邪魔で仕方がありません。もちろん、爪本来の機能などほとんどないも同然です。


 このように、『鬼塚法』という「手術」は、

   失敗しなくても

運が悪いと爪が変形してしまい、困ったことになる危険があるものなのです。


 これで皆さんにも、『鬼塚法』にはかなりの問題があることがおわかり戴けたことと思います。


 では、爪が曲がったり剥がれたりしなければ「『鬼塚法』はよい治療法」と言えるのでしょうか?

 いいえ、とてもそうは言えません。『鬼塚法』は、例えどんなにうまく行っても、例えどんなに運がよくても、絶対に避けられない「合併症」がもう一つあるのです。そして、これこそが、私が『鬼塚法』を「不適切である」と断言している最大の根拠となるものなのです。

 次回は、この最後の「合併症」について述べることと致しましょう。


(続く)


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