医学クイズ(1)解答

 ヒトには頸椎が7個あり、それらのうちの第1頸椎から第6頸椎までの横突孔(横に突き出た部分(横突起)に開いている穴)には椎骨動脈が通っていますが、第7頸椎の横突孔には

   椎骨動脈が通っていないのです。

 なのに、この模型では

クイズ-01-誤-02


のように第7頸椎の横突孔にまで椎骨動脈が通っています。従って、これが間違いです。

 正しくは以下の通りです。


クイズ-01-正-02

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 2月になりましたので、予告通りに解答を掲載致します。

 残念ながら、1月中にご回答をお寄せくださった方はいませんでした。やはり、専門的すぎたでしょうか。


 解答をご覧になった方は、ことによると

   「そんな細かいこと、どうでもいいじゃないか」

とお思いかも知れません。

 ですが、これは解剖学ではしばしば問題にされることであり、実際、口頭試問などではこれに正答できないと単位がもらえないことだってあるのです。

 一般の方にとっては特に役立たないことかと存じますが、雑学としてでも記憶にとどめて戴ければ幸いです。


 なお、医学に興味のある方は、もしかすると次のような疑問をお持ちになったかも知れません。それは、

   「椎骨動脈が第7頸椎横突孔を通っていないのなら、

   その第7頸椎横突孔は何のために開いているのか?」


という疑問です。考えてみれば、当然の疑問とも言えましょう。この疑問は、次のように言い換えることもできます。

   「第7頸椎横突孔には何が通っているのか?」

 穴が開いているからには、「何かを通すために開いている」と考えるのが自然です。さて、皆さんはどう思われますか? これは、実は医師でさえ答えに困る問題なのです。


 勘のいい方なら

   「動脈でなければ静脈が通っているのではないか」

とお考えになることでしょう。ですが、これは必ずしも正解とは言えないのです。

 確かに、第7頸椎横突孔に椎骨静脈が通ってはいます。ですが、椎骨静脈の全てが通っているわけではなく、その枝の一部が通っているに過ぎないのです。ですから、例え第7頸椎横突孔がなかったとしても静脈は流れられるわけで、第7頸椎横突孔の存在理由としては説得力が弱いのです。


 これは、実は(私の知る限り)定説はないようですが、おそらくは「昔、第7頸椎横突孔にも動脈が通っていたが、進化の過程で迂回するようになり、穴だけが残存したのではないか」と考えられるのです。実際、第7頸椎横突孔の位置はかなり後方にあり、椎骨動脈がそこを通るためには後ろへ不自然に回り道をしなければなりません。そうなると、動脈に負担がかかりますし、動脈硬化などが起こると容易に狭窄・閉塞してしまうことにもなりかねません。そこで、おそらくは永い年月のうちに動脈が「近道をする」ようになっていったのではないかと考えられるわけです。



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